オタクやってると結婚できない
オタクやってると結婚できない。そう思ったので記事を書く。
ここでいうオタクはアニメ、マンガ等が好きなオタクのこと。そして同人活動をしているオタクのことを指す。
まぁ、私のことなんですけど。
もちろんオタクで腐女子で彼氏います、結婚してます、子供もいますという人達が沢山存在することも承知している。その人達を否定も非難もしていない。
ここで重要なのは、オタクといっても「オタク趣味に生きがいを見つけようとした悲しきオタク」が結婚できないのではないか、ということである。
オタクであることに縋り付いてしまったオタクともいう。実に重いオタクだ。
いまいちピンとこない人がほとんどだと思うので、どうしてそんな風に思うようになったか、私のオタク人生を書いていこうと思う。
私がオタクになったのは小5のとき。
クラスでいじめられた。女子全員からのシカト攻撃である。
もともと絵を描くのが好きだったのだが、あまりマンガやアニメは見ていなかった。
読んでいた漫画は周りの子に合わせて「りぼん」くらいである。
しかし、いじめに合ってからアニメを見て、その世界にのめり込むようになった。
アニメ雑誌もこの頃から買ってもらうようになった。
アニメが自分を救ってくれる唯一のものだった。
いじめはいじめられる対象がコロコロ変わるものであったため、私も加害者になったり、またいじめたれたりとしながら、小学校生活は終了した。
そして中二で腐女子デビューである。
よくありがちな友達のお姉さん経由で腐女子になった。
この頃から「ジャンプ」を読み出し、会員制サークルに入会し、数か月に一度会報誌が届くのをとても楽しみにしていた。
高校生になり、投稿雑誌にハガキ投稿をし始めた。初めて掲載されたのは確か高3のとき。とても嬉しかった。
なんだか認められた気がした。
それと同時に年下で上手な子、毎回掲載されている常連さんに羨ましさと妬ましさの感情を抱いた。
受験勉強そっちのけでハガキと向かい合った。
その結果、親が希望する大学へは入れなかった。
なんとか短大へ入学し、二次創作での同人活動を始めた。
イベントに参加するたび、売れなさ過ぎてへこんで帰宅した。
本当に売れなさ過ぎてイベント帰りに山手線を一周したことがある。
在庫を切り裂き、ごみ袋に何度つめたことかわからない。
そうまでして同人活動を続けた。
もちろん元の作品が好きだというのが前提ではあるが、
有名になりたい、認められたい、友達が欲しい、交流したい、ちやほやされたい
という気持ちがあったのだ。
しかしどれもこれもうまくいかなかった。
そして二十代も半ばに差し掛かろうとした時、転機がおとずれた。
いままで女性向けで活動していたのだが、いきなり女の子に大ハマりしたのである。
そのジャンルでの活動は何もかもが新鮮だった。
そして初めて「売れる」ということを実感したのである。
買い手は男性が多く、その場で感想を言ってくれる人もたくさんいた。
次々人が来てくれるということも経験した。イベントでは誕生日席が毎回だった。
合同誌だったが、すごい部数を刷る経験もした。
アフターに誘ってもらったりもした。
そして初めて「漫画描くのって楽しいんだな」と感じた。
しかし、二年程の活動で、再び女性向けに戻ってしまったのである。
前ジャンルでかなり売れっ子だと勘違いしていた私は再び売れなさ過ぎて撃沈。
そして痛い発言をし、某大型掲示板に晒されるという経験をした。
晒されたことにより、このジャンルに嫌気がさし、再び前ジャンルに戻り一年程活動したのである。
そして再び女性向けジャンルへ。
この時、もう交流はしない。自分が好きだから描くんだ。売れなくてもいいじゃないか。という気持ちで活動しようと決めた。
決めた途端おかしなもので、今までやりたかったことが全て叶ってしまったのだ。
ものすごく売れたわけではないが、毎回一定数は本が出た。
そして毎回アフターに誘ってもらえるようになった。
大型のオフ会にも参加できた。アンソロにも参加した。
ジャンル(CP)自体がこじんまりしていたこともあり、ほとんど顔見知りで、大手も自分を知っていてくれるということに涙がでそうなくらい嬉しかった。
「自分はここで認められている」
そう感じていたのだ。
このジャンルでは二年程活動し、この時知り合いになった人達とはほとんど縁が切れてしまったが、いまだに仲良くしてくれている人も数人いる。
そして三十路になった。
そろそろ結婚しなきゃな…と思い、婚活パーティなどに行き始めた。
でもうまくいかない。
そうこういしているうちに再び、同人熱が上がってきたのだ。
描きたい話を数冊だけ…のつもりだった。
だが、熱は熱を上げ、婚活そっちのけで漫画を描いていた。
そしてこのジャンルで長年の夢が叶ってしまったのである。
「ああ…夢が叶った。やっと認められたんだ。」
詳しくは書けないが、ずっと憧れだったのだ。
本当に嬉しかった。
嬉しかったと同時に、同人活動に対する熱が冷めていくのがわかった。
目標を見失ったのだ。
元の作品が好き、それが前提のはずなのに…。
私はわからなくなった。
そして夢が叶った頃、婚活パーティでは相手が見つからないと感じた私は、仲人のいる結婚相談所に入会した。
結婚してもオタクであることは変わらない、変えられないと思っていたし、同人活動も細々とやりたい思っていたので、そのことを理解してくれる人がいいと思っていた。
しかし、お相手に求める云々以前に、私はだいぶん拗らせていて、自己肯定感がめちゃくちゃ低かったので、仲人のカウンセリングのもと、ひたすらに自分と向き合うことをした。
お見合い記事ではないので内容は割愛するが、それはもう苦しかった。
なんせ30年間拗らせ続けた自分と向き合うのだ。
そこで、前記に述べた通り、オタク趣味はやめられないと仲人に告げた。
これだけは変えられない。と。
仲人は「これからあなた自身が変わろうとしているんだから、その趣味も変わるかもしれない。その趣味は今までの寂しいあなたの趣味だったんだよ。」と。
私は全否定した。
そんなことはない。今までだって、これからだって、同人活動やイベント参加、アニメ鑑賞は私にとって大事なものだ。
それを認めてほしい。
そう言った。
全て仲人の言う通りだったからこその全否定だった。
私はいじめをきっかけにアニメに逃げたのだ。
受験勉強が嫌でハガキ投稿に逃げたのだ。
会社などで嫌なことがあっても同人活動をすることで自分の居場所を見つけようとしたのだ。
「同人活動をしている(人と違うことをしている)私は偉いんだよ」って。
でもだんだんと自分の欲しいものと同人活動がかけ離れていくのがわかった。
そしてさらに半年経った頃、再び違うジャンルにはまっていた。
周りは自分よりも10歳近く若い子たちばかりだった。
結婚相談所に入会してから同人活動はしていなかったのだが、また本が描きたくなった。
SNSに落書きやちょっとした漫画はあげていたが、本格的な同人活動は久しぶりだった。
本は完成した。
でもどうしてだろう。少しも喜びや達成感がない。
こういう作業をしていたら原稿が仕上がっていた。そんな感覚だった。
もちろん、話を考えているときは楽しかったし、萌えていたのだ。
久々のサークル参加。
少しも楽しくなかった。
あれだけ好きだったイベントの空気、雰囲気が少しも身体になじまないのだ。
おかしい…
いや、おかしくないのか?
私は仲人の言葉思い出した。
「あなたが今までその活動をしていたのは、他人に認めてほしかったからなんだね。でも今は違う。自分自分のことを認められるようになったし、認めてくれる相手が現れるから、もう趣味に居場所を求めなくてもいいんじゃない。」
半年前は全否定したのだが、この時はそうかもしれないと思っていたのだ。
私はもう同人活動に縋らなくていい。
同人活動をしていなくても私は私でいられるんだと気付いたのだ。
それと同時に、ずっと心の奥で傷ついていた小5の私を癒すことができた。
彼女はずっと傷つき、ずっと悲鳴をあげていたのだ。
もう逃げなくてもいいんだよ。オタク趣味がなくなっても私は私のままなんだよ。
そう言ってあげた。
私は「オタクである私」の呪縛から解き放たれた。
つらつらと私のオタク人生を書いてきたが、全ての人にあてはまるわけではないことは十分承知している。
今だって、興味のあることはドラマよりアニメだし、芸能人より声優のほうが詳しい。
絵も描く。
でも同人活動はしばらくお休みだ。
趣味を持つは大事なことだと思う。
しかし、その趣味に執着してはいけない。
同人活動や創作活動を趣味にしている人達、純粋に楽しく趣味していますか?
一冊も売れなくても、心から楽しいと言える日が来たら、それが本当の趣味になった日だと思う。そんな日がくればいいのに。
ちなみにこれらは二年前のことだが、現在は大好きな夫と娘に囲まれて、毎日幸せな日々を送っている。アニメ・漫画はたしなむ程度にね。